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2005/08/03

更新: 考察色々・「『THE 八犬伝』における解脱の物語」

 文学の授業で提出したレポートを引っ張り出してきて載せることにした。教授が面白い人で、ストーリー性のあるものなら何でもテーマにして良いと宣言されたので、それじゃあ八犬伝だと思い至ったわけ。
 いざDVDを視聴してみたらこれがまたハマるハマる。勢い余ってツタヤでサントラを借りてきてしまった……!

 前回更新時の雑記で、會川昇氏のことを述べた。
 先日、同氏が脚本を担当する「劇場版鋼の錬金術師〜シャンバラを征く者〜」を見に行った。世界史マニアにはたまらん内容。しかしやっぱりシニカルな部分は會川氏。アニメ版「鋼の錬金術師」の最終回を見ていないと設定が理解不能だが、見る価値はあるというのが最終的な店主の結論。




2005/06/09

更新: 私説八犬伝人物像・犬山道節忠与

 うわあ二ヶ月ぶり更新……!?
 ごめんなさいごめんなさい学校その他が本当に忙しくて(以下長々)

 昨日はサッカー日本代表がW杯出場を決めた歴史的記念日というが、以前アジアカップについて延々と語り続けたので詳しいことは書くのはやめておく。
 でもおめでとうありがとう日本代表。

 「鋼の錬金術師」はご存知だろうか。月刊少年ガンガン(スクウェアエニックス)に連載中の少年漫画である。
 面白いと勧められて今年の春から読んでみた。評判通り、なかなかテンポの良いギャグとキャラクター造詣、伏線等々が魅力的だ。2003年10月から放映されたアニメを見始めたのは、翌年8月からなので、かなり遅い方だろう。なお、今年の7月からは劇場版も公開されることになっている。
 本題に入る。この漫画、主題が重い。「何かを求めるには何らかの代価を必要とする」、即ち等価交換の原則が作品を貫いている。主人公兄弟が病気で死んだ母親を生き返らせようと禁忌の人体錬成を試みた結果、兄は右手右足を失い、弟は体を失って鎧に魂を定着させることになった。その二人が「賢者の石」を捜し求め旅をするというのが本筋である。
 作者の荒川弘氏がシリアスすぎるストーリーが好きでないというので、原作の漫画はギャグ傾向にある。しかし、アニメスタッフは違う。とことん原作のダークな部分を突き詰め、子供が見てもわからないような、作品としてのアニメを追求していったようだ。
 また、アニメの時代考証はかなり徹底している。魔女狩り、パラケルススの人体錬成、チャーチル等、世界史を学んだ身としてはなかなか興味深いものばかりだ。

 ……ところが、このアニメも「八犬伝」と無関係ではなかった。
 ある日何気なくオープニングテーマ映像を眺めていると、ストーリーエディターとして「會川昇」の名が目についたのだ。
 驚愕し、そして納得した。この會川氏、「THE 八犬伝」「十二国記」の脚本を書いておられたのである。
 ああ道理であんなドロドロした話になるはずだ……と思いつつ、「八犬伝」と「ハガレン」を脳内比較してみる店主であった。

 ちなみに、「ハガレン」中の店主キャラランキングは以下の通り。

一位 リザ・ホークアイ中尉
二位 アレックス・ルイ・アームストロング少佐
三位 マリア・ロス少尉
次点 レコルト一家+パニーニャ、ロイ・マスタング大佐

 ……文句は言わせん!




2005/04/30

更新: 連環「極楽鳥獣貿易」さまのリンクを削除。寒色系に改装

 気が早いような気もするけれど、店主は暑いときに涼しくするのが大好きなので。
 さあ、次は富山の伏姫・親兵衛話を書くぞ!

 先日の、「遙かなる時空の中で」の話に付け加える。
 実はゲームを(友人と一緒に)実際にプレイしてみた。コミックスとは違い、龍の宝珠を呑み込むシーンはなかった。なんだ、コミックスのオリジナルだったのか。残念。
 また、前回は主人公(あかね)=伏姫と位置づけたのだが、それだけではない、玉梓も存在することに気付いた。「黒龍の神子」たるラン(森村蘭)である。
 「遙か1」「遙か2」「遙か3」とシリーズを通してこの「龍神(白龍)の神子」「黒龍の神子」の衝突・葛藤が描かれるが、コミックス「遙かなる時空の中で」で描かれたあかねとランの対立は興味深い。そっくりそのまま伏姫と玉梓に置き換えても良さそうに見えるからだ。
 なお、混乱を避けるために表を作っておくことにする。

シリーズ名主人公=龍神(白龍)の神子主人公の対=黒龍の神子
遙か1(デフォルト)元宮あかねラン(森村蘭)
遙か2(デフォルト)高倉花梨平千歳
遙か3(デフォルト)春日望美梶原朔

 あくまでも神聖で清純な少女と、清くあろうとしながらも悪に堕ちた少女。2以降のシナリオは詳しく知らないが、「遙か1」のランの悪に操られる様を見る限りでは、どちらかというと「THE 八犬伝」的なような気がする。

 なお、「遙か1」が10世紀頃の京(に似た異世界)を舞台にしたストーリーであるのに対し、「遙か2」はその100年後の院政期、「遙か3」は更に100年後の源平合戦時代を舞台にしている。2以降では、敵方キャラクターとの禁断の恋も展開次第では有り得るというのが特徴だ。
 大河ドラマで「義経」を放映する今年に「遙か3」を発売するルビー・パーティーの強かさには、舌を巻かずにおれない。




2005/04/16

 更新: 連環「ミナミノクニ」さまをお迎え

 みつささんの可愛いイラストに癒されつつ。実は「里見☆八犬伝」も既読です。
 ああいう、単にギャグだらけの漫画というのもたまにはいい。絵可愛いし。

 4日に入学式があってから、今まで割と忙しい生活を送ってきた(つもり)。
 大学はやはり世界が広い。実際に社会に出たらもっと広いと思うだろうなあとつくづく思う。
 ちょっと童心に戻って大学構内を探検してみたりする。1年間だけお世話になるはずの校舎はとても広い。
 図書館も広い。日本でも有数の蔵書を誇るそうだから、そんなにたくさんは歩けないが、ひとまず探索してみた。
 そこでちょうど「八犬伝綺想」を見つけた。地元の図書館でも見つけられなかった代物! 暇ができたらすぐに借りて読みたいと思う。




2005/04/02

更新: 私説八犬伝人物像・犬塚信乃戍孝、犬飼現八信道、犬川荘助義任

 なんだかんだ言って久々の更新になってしまった。しかも昔の原稿をたまたま発見したので上げ直しただけだし……。

 さて、以下はまたアニメや漫画などのサブカルチャー的話題になることを先に断っておく。

 3月30日に放映を終了した「遙かなる時空(とき)の中で 〜八葉抄〜」というアニメがある。
 元はプレイステーションソフト「遙かなる時空の中で」として光栄から発売された(2000年)ゲームだが、キャラクターデザインを担当した少女漫画家の水野十子氏が、少女漫画誌「月刊LaLa」で漫画を連載しているのをアニメ化した作品だ。ゲームソフトの方は続編が2、3とつくられている好調ぶりだ。
 光栄は「チンギス・ハーン」「信長の野望」などの歴史シミュレーションゲームを多数発売しているが、一方で女性専門ゲームを製作する「ルビー・パーティー」というグループを立ち上げ、1994年から女性向け恋愛シミュレーションゲームを次々と世に送り出している。ルビー・パーティーが企画するこの手のゲームを総称してネオロマンスと言うが、「遙か〜」はその2代目シリーズといえる。

 随分前置きが長くなったが、先日間違えてこのアニメをDVDに録画したのをきっかけに、ついつい見続けてしまった。映像もきれいで、声優もかなり豪華だったこともある。
 肝心のストーリーはどうなのか。現代の女子高生である元宮あかね(主人公なので、ゲームではプレイヤーが好きな名前をつける)は、友人二人とともに異世界に召喚される。平安時代によく似た異世界都市「京」は、鬼一族の侵入に悩んでいた。あかねは強い神力を持つ「龍神の神子(みこ)」として、彼女を補佐する八葉という8人の男性達と心を通わせ、怨霊や鬼から京を守るために戦う。――大体このような荒筋だ。
 この話、どうやら八犬伝に通じるところが多々あるらしい。

 まず、神性を持つ少女と八人の戦士という組み合わせ。まさしく伏姫と八犬士の有様である(ちなみに、伏姫もあかねも16歳だ)。伏姫と八犬士は安房と里見家を守り、その敵を打倒する。龍神の神子と八葉は京と朝廷を守り、その敵を打倒する。この構図もそっくりそのままだろう。
 次に、少女と戦士たちの繋がりについて。「遙か〜」の漫画の冒頭で、あかねは8つの「龍の宝珠」を呑み込む。八葉が現れるたびに宝珠は彼女の体内を飛び出し、八葉の体に埋め込まれる(手や頬、額など外見でそれとわかる部分だが)。このことは、あかねが伏姫の如く処女懐胎を経て出産したことを示唆しているし、宝珠は八犬士にとっての霊玉と牡丹の痣の融合とも考えられるだろう。龍神の神子はその体に龍神を宿すことができるというのだから、処女懐胎となれば、龍神と八房はほとんど同じものとして考えて良い。
 しかしそうすると、ゲームの流れからして、神子あかねは息子のような存在である八葉と恋に落ちるわけか。
 キャラクターの相関関係に詳しく触れるとさらに長くなってしまうが、3つだけ示しておく。(1)八犬士のうち二人(犬塚信乃、犬阪毛野)に女性的要素があるように、八人のうち二人が異質的要素を持っている(八葉のうち二人は現代人であかねの友人である)、(2)父子ほどの年齢差のあるキャラクターがいる(「遙か〜」の漫画でも少々触れられている)、(3)八人の戦士を二人ずつ四組に分け、東西南北を守護させる。

 恋愛シミュレーションゲームなのだから、八葉は皆それぞれに魅力ある青少年である。多くの女性はルビー・パーティーの思惑に嵌まっていくが、同様に、江戸時代に読まれた八犬伝でも、八犬士は女性に絶大な人気があったという。

 ちなみに、八葉の一人である藤原鷹通を演じる中原茂氏は、「THE 八犬伝」ではヤス平(姥雪与四郎)簸上社平役である。

「遙かなる時空の中で」公式ページ
「遙かなる時空の中で3」公式ページ
「遙かなる時空の中で 〜八葉抄〜」公式ページ
「遙かなる時空の中で」(水野十子著)

修正: ヤス平(姥雪与四郎)→簸上社平(2005.12.09.)




2005/03/05

更新: 掲示板再設置、お知らせ「復活宣言」

 はい、というわけで復活です。
 まあ「桜が咲いた」ということで、桜バージョンになっています。4月を過ぎたらまた寒色系に戻すつもりでいますが。

 不束者ですが、これからもよろしくお願いします。




2004/11/27

 更新: 急遽移転

 本当に突然のことで申し訳ありません。2style.jpの都合らしいのですが、8月26日以前にログインしていなかったのでアカウントが抹消されてしまったのです。
 というわけで、まだ復活には程遠いのですが、なんとか移転してみました。
 しかしバックアップをとってあったノートパソコンのデータも吹っ飛んでしまったため、もはや失った一部のデータを取り返すすべも無く……。あちこちリンクが切れていたり……。

 ……復活したらまた書きます。
 とりあえずリンクを張ってもらっているところにご挨拶に行くことにしよう。




2004/08/09

 更新: 連環・「明鏡の泉」さまサイト名変更

 本業そっちのけでサッカー・アジアカップで大興奮していた、大のサッカー党の店主。翌日の模試さえなければ日帰りで北京に行きたかった。本当に受験生かと自問してみたくなる。
 たまには八犬伝関連以外の話題をば。今回のアジアカップはあちこちで言われているように、中国人サポーターの観戦態度が随分と問題になった。試合中のブーイングは勿論、国歌斉唱に対するブーイングもかなりのもの。7日夜の決勝を見ての通り、結局最後まで「君が代」への野次は続いた。
 石原慎太郎都知事が指摘するように、一部の中国民衆の民度の低さが浮き彫りにされていると思う。中国大陸は広い。いろいろな人がいる。「冷静な観戦をしたい」という人もいれば、最低限の礼儀さえも知らない馬鹿がいるわけだ。個人的には、2008年の北京オリンピックでもああいう態度はなくならないような気がする。
 何よりも監督の態度がいけない。オランダ人のハーン氏が中国代表を率いているが、一点目を演出した中村のフリーキックは本当なら中国のものだったとか、二点目はハンドであるとか、試合が終わった後にも愚痴を言い続けるものではない(このゴールは確かに「神の手」だったらしいが、日本は不利なジャッジのもとで戦い続けてきたからこれくらい大目に見ろとも思うなあ)。表彰式にも出ないというのは、度量が狭い。

 決勝戦の試合運びはスムーズで、トーナメントの話ばかりになるが、対ヨルダン戦(準々決勝)、対バーレーン戦(準決勝)のときよりも冷静に(特にディフェンス陣が)対応していた。
 7月31日の対ヨルダン戦は家族に加えて従兄弟家族も来ていてみんなで観戦していたが、あれほど劇的なPK戦は見たことがなかった。0-2からの逆転は困難だ。「神を呼んだ」GK川口能活の威圧感と判断力も素晴らしいが、中村・三都主が連続して打ち上げてしまった後、審判に抗議した主将宮本恒靖が功労者だった。堪能な英語で主審に「ピッチを変えてくれ」と申し出、それに猛反対するヨルダン代表監督は退席処分。最後まで冷静に説得し続けた結果、宮本の申し出は受け入れられた。語学力(宮本は同志社大学出身)と落ち着いた態度の勝利だった。
 また、8月3日のバーレーン戦。バーレーンの攻撃力が凄まじいのもあったが、敵へのマークが甘くなり、三失点を喫する大混戦。ロスタイム直前に中澤が値千金のゴールを獲得したから良かったものの、いやまったくハラハラさせられた。川口だってそう何度も神は呼べたものではない。

 今大会にこんなに店主が入れ込んでいるのは、ヨルダン戦をリアルタイムで見たからでもあるが、単にDF宮本恒靖とFW玉田圭司の二人が大きな要因かもしれない。
 宮本は店主のちょうど十年上で、誕生日が一緒である。バーレーン戦・中国戦で覚醒したように3ゴールを上げた玉田は、店主の地元出身だという話を聞いた。自分が恥知らずな性格だったらきっとストーカーに行っていたはずだ。

 ……マニアの領域。反省。




2004/07/22

更新: 連環・「桜凛堂」さまURL変更、「海南人文研究室」さま修正

 あれ(前回更新)の翌日、安能務版「封神演義」を購入してしまった。
 近くで古本セールやってたから……つい……。




2004/06/02

更新: 連環・「八犬伝同盟」さまを削除

 中国四大奇書として、「三国志演義」「水滸伝」「西遊記」「金瓶梅」が挙げられる。そしてごくたまに、本当に稀に、「金瓶梅」の代わりに「封神演義」が入ることがある。
 封神演義といえば字面だけ見覚えがあるという方も多いのではなかろうか。安能務氏の訳を原作とした漫画が2002年まで週刊少年ジャンプに連載されていた。SFチックで歴史漫画どころか普通の少年漫画からもかけ離れた壮大な内容になってしまっているが。
 かくいう店主は、生涯で初めて愛読した少年漫画として思い出深いものがある。先日全23巻を読み通してしまい、ついにはゲームまで……ゲホゲホ。

 えーと、本題なんだっけ。ああ、玉梓と妲己か。
 「封神演義」の舞台は紀元前11世紀の中原だ。中国最古の王朝・殷の滅亡と周の創立に際して、仙人や道士たちの戦いを描いている。最後の殷王・紂(皇帝という名称は秦代以降である)の寵姫が妲己なのだ。
 歴史上でも名高い悪女として並ぶ彼女は、作中では狐の仙女とされる。「史記・殷本紀」中にある「以酒為池、懸肉為林(酒を以って池と為し、肉を懸けて林と為す)」即ち酒池肉林、熱した銅柱に罪人を抱きつかせる炮烙、蛇を入れた穴に罪人を突き落とす盆などの発案者も彼女だとか。
 紂王は嘗ての名君の面影をなくし、妲己の言いなりになる。結果国は乱れて王と妲己は周の武王に討たれるわけ。その軍師が道士・太公望なのであるが。
 美貌で国主をたぶらかし、贅沢三昧の生活を送った挙句に殺された悪女。まさしく玉梓ではないか。
 無論、悪女が殺されて物語が始まるか終わるかという大きな違いはあるものの、「八犬伝」は悪女の国土蹂躙を描いた「封神演義」、宿命の義兄弟を探す「水滸伝」、多くの豪傑が国のために戦う「三国志演義」、全てを終えた後仙人となる「西遊記」、姫が犬に嫁ぐ苗族神話等、実に多くの中国文学(神話)に取材していることに改めて気づく。
 ――さて、今はひとまず妲己の野望を阻止するためにワンダースワンに向かうとするか。

 安能務訳「封神演義」
 八木原一恵訳「封神演義」(店主蔵書)
 藤崎竜作「封神演義」(店主蔵書)
 ワンダースワンソフト「仙界伝」「仙界伝弐」(店主…もういいや)



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